マーブルクイーンを育てていますが、すぐに枯れてしまいます。弱いのはなぜでしょうか?
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- マーブルクイーンの栽培が難しい根本原因
- 栽培を難しくする現象
- 上手に育てるコツ
本記事の信頼性
- ポトス50種以上の栽培歴・コレクター
- グリーンアドバイザー
(公益社団法人日本家庭園芸普及協会) - フラワーショップ経営
本記事を書いている私はポトス50種類以上の栽培歴を持つポトスマニアです。
大理石のような色味が美しいため、とても人気の高いマーブルクイーン。
しかし、初心者の方の多くが比較的短期間で枯らしてしまう品種の1つです。
実はポトスが好きな中、上級者でもきれいな状態を保つのに苦労します。
この記事では初心者でもできる!“マーブルクイーンの栽培が難しい理由と育て方のコツ”をご紹介します。
なぜマーブルクイーンは難しい?根本的原因
結論から申し上げますと、葉の白い部分(=斑)には葉緑体がなく、光合成できないから。
植物は葉の緑色の部分にある葉緑体で光合成をおこないます。
しかし、マーブルクイーンの葉には緑色の部分が少ない=葉緑体の面積が狭い=光合成によって得られる養分やエネルギーも少なくなります。
成長するための養分やエネルギーをあまり作れないため、どうしても性質が弱くなります。
だから栽培が難しくなります。
葉緑体が少ないことで起こる栽培を難しくする現象
- 成長が遅い
- 寒さに当たるとダメージを受ける
- シミができやすい
- 葉焼けしやすい
成長が遅い
光合成によって得られる養分やエネルギーが少ないということは、当然、成長速度も遅くなります。
成長速度が遅いということは、根の伸びが遅かったり、次から次へと葉が出なかったりします。
成長するまでに時間がかかると、仮に途中でダメージを喰らったときに、復活にも時間がかかります。
例えば、水やりが多すぎたり、病気にかかったり、寒さに当ててしまったりなどです。
初心者の方は、栽培途中で振りかかる様々な問題に対処できないため、結果枯らしてしまいます。
だから難しいと感じるわけです。
寒さに当たるとダメージを受ける
マーブルクイーンは寒さに弱いです。
これは私自身の栽培経験だけでなく、1990年にアメリカフロリダ大学の中央フロリダ研究教育センターで行われた、「マーブルクイーンの低温感受性に関する実験」で証明されています。
実験内容
同じマーブルクイーンでも白い斑の多い葉~緑色の多い葉を持つ株を6段階に分け、
1週間10℃の冷蔵環境に置き、さらにその1週間後に凍傷を負った枚数を測定します。
実験結果によると、白い斑の部分が多ければ多い葉ほど、凍傷を負い、緑色の部分が多いほど凍傷を負いませんでした。
つまり、白い斑の多いマーブルクイーンは弱いということです。
ということは、一般的なゴールデンポトスと比較するとマーブルクイーンはデリケートな品種であり、
栽培難易度も上がることが分かります。
一般的に“ポトスの耐寒温度は5℃”といわれていますが、それはゴールデンポトスが寒さによってダメージを受けない限界温度です。
マーブルクイーンは最低耐寒温度10℃は欲しいです。
冬期は室内でも夜間や外出時など、エアコンを切ると0℃まで下がる地域もありますよね。
マーブルクイーンが難しい理由は、うっかり寒い環境下にさらしてしまうことがあるからです。
シミ・淵枯れしやすい
マーブルクイーンに限らず、白い斑の部分は茶褐色のシミや淵が茶色く枯れやすいです。
白斑のモンステラ(モンステラ・ボルシギアナ“ホワイトタイガー”)等にもよく見られます。
原因は様々で、栽培上の失敗に限らず、葉が古くなったなど生理現象の一部として起こることもあります。
白い斑の部分にシミや淵枯れができやすいのは、性質上仕方ないことなんです。
斑の部分には葉緑体もない、生育には役立たない部分のため、正直有っても無くても良いわけです。
そのため、性質的に弱い部分なんです。
弱い部分は何かダメージを受けると症状が出やすいです。
人間の皮膚に例えると分かりやすいですが、ちょっと疲れたときに顔や首、股などデリケートな部分が痒くなったり赤み、湿疹が出る方もいらっしゃると思います。
で、マーブルクイーンの葉にシミができやすいからといって、すぐに枯れるわけではないのですが、初心者の方が見たとき、どう感じるでしょうか?
やはり「何が悪いんだろう、、、難しいなぁ」と思うのではないでしょうか。
シミや淵枯れができると美観的にも良くないため取り除くと思います。
マーブルクイーンは成長速度が遅いため、次の葉が出たり、ツルが伸びるのに時間がかかります。
このようなことからゴールデンポトスと比較して栽培は難しいといえます。
葉焼けしやすい
葉焼けとは
葉が直射日光など強い光に当たったことにより、葉緑体の中にあるクロロフィル(葉緑素)が破壊されることで、白や茶色、黒く変色した状態を指す。
人間でいう“やけど”です。
冒頭でお話しましたが、
マーブルクイーンの特徴である、葉の白い部分(=斑)には葉緑体がなく、光合成ができません。よって、成長するための養分やエネルギーをあまり作れないため、どうしても性質が弱くなります。
そして、白い斑の部分も性質的に弱いです。
つまり、そもそも弱い性質の植物が、直射日光など外界から強い刺激を受ければ、葉焼けのような現象が起こっても仕方ありません。
ただ、シミや淵枯れを防ぐことは難しいですが、葉焼けに関しては防ぐことができます。
マーブルクイーンを上手に育てるコツ
- 理想は冬でも20℃以上の環境で栽培
- 直射日光に当てない
- 手間をかける
理想は冬でも20℃以上の環境で栽培
栽培温度に関して春~秋まではあまり気にする必要はありません。問題は冬です。
マーブルクイーンは特に寒さに弱い傾向があるため、理想は冬期でも20℃以上の環境下で栽培して下さい。
もちろん、10℃以上あれば成長はゆるやかになりますが、枯れませんし、5℃でも越冬はできます。
ただ、美しく育てることを前提にお話すると、マーブルクイーン本来の生育適温に近づけるのが理想です。
例えば、リビングなどほぼ一日中暖房を付けている部屋、置く場所も日中日は当たるけど、窓際から1mくらい離れた場所など、なるべく寒さに当てない環境がベスト。
もし、お仕事など朝から晩までほぼ一日中家を空ける方であれば、家庭用温室ヒーターを近くに置くと良いです。
無加温であれば、多少ダメージは受けますが、鉢を発泡スチロールの中にいれて根を寒さから保護するなど最低限の対策をします。
マーブルクイーンに限らず、ポトスは寒いと成長が止まりますので、春~初秋と同じように旺盛に育てたいのであれば、栽培温度を高くしてください。
直射日光に当てない
マーブルクイーンを直射日光に当てない目的は葉焼け防止です。
ただ、365日室内のレースのカーテン越しなど半日陰で栽培すれば、99%葉焼けは防止できます。
なぜなら直射日光に当てなければ、葉緑素が破壊されるまでには至らないからです。
室内であれば西日が少々当たる場所でも、葉焼け迄はいきません。
もし、5月~10月くらいまでベランダなど屋外で栽培するのであれば、8月~9月は直射日光に当たらない場所、コンクリートなどの照り返しが届かない場所に置きましょう。
手間をかける
ゴールデンポトスより性質が弱い分、手間をかけて育ててあげる必要があります。
具体的な内容は以下3つ。
- 定期的な肥料と活力剤の投与
- 間引き剪定
- 観察
定期的な肥料と活力剤の投与
まず、初心者の方が忘れがちなのは肥料と活力剤を与えること。
水は忘れずに与えても、肥料や活力剤に関しては全くやっていない方も多いのではないでしょうか。
ですが、難しいことはありません。
肥料は観葉植物用の固形肥料、もしくは液体肥料を与えます。
活力剤はアンプル型のものを土に刺しておけばOKです。
間引き剪定(まびきせんてい)
一般的に“間引き剪定(まびきせんてい)”とは樹木の生育を良くするためにやる作業なのですが、
マーブルクイーンにも有効です。
目的は蒸れ防止、コナカイガラムシ被害軽減です。
要するに、葉を減らすことで管理しなければ手間を少なくしよう!ということです。
例えば、マーブルクイーンも順調に生育すると、こんもりと葉が密になります。
すると、自然と風通しが悪くなるため蒸れやすくなります。
風通しが悪い蒸れた環境は病気やコナカイガラムシにとって居心地のいい場所。
結果的に、病気や害虫被害に遭う確率が高まり、対処作業が大変になります。
ですのでこのように、葉を間引いて株元をスッキリさせることで風通しを良くします。
とにかく長くツルを伸ばしたい人にとってはデメリットですが、また5月以降の生育期にグングン増えます。
美観を重視するか、作業量を重視するかはあなた次第です。
観察
「観察?なにそれ?」と思った方も多いと思います。
ですが、もう一度おさらいしますが、マーブルクイーンは一般的なゴールデンポトスよりも性質が弱い植物です。
みなさん、「生後まもない赤ちゃん、子犬・子猫」など“弱い”対象にたいしては常に目を配りますよね。
なぜでしょうか?
もちろん、“かわいい”など興味の強い対象ということもありますが、万が一危険が振りかかったときに、すぐに対応できるようにするためです。
少々、大袈裟ですがマーブルクイーンも同じです。
性質が弱い分、普段からよく観察することが大切です。
それにより、早期にトラブルを発見し対処することができます。
このように面倒を見てあげる、手間をかける作業が増えるため、マーブルクイーン栽培は難しいといえます。
そうはいってもポトスだから難しくない!
難しい!難しい!といいいますが、そうはいってもマーブルクイーンもポトスの一品種に過ぎません。
マーブルクイーンは日本には昭和30年に渡来しましたが、既にヨーロッパでは園芸品種として存在しておりました。
一般的な緑地に黄斑が入るポトス(Epipremnum aureum)の突然変異として生まれた園芸品種ですが、少なくとも60年以上、安定した固定品種です。
つまり、育て方のコツに従えば誰でも失敗すること無く栽培できます!