ポトスの葉が黄色くなるのはなぜでしょうか?
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- ポトスの葉が黄色くなる10の原因
- 一度黄色くなった葉は元に戻らない
- ポトスの葉が黄色くならないようにする育て方
本記事の信頼性
- ポトス50種以上の栽培歴・コレクター
- グリーンアドバイザー
(公益社団法人日本家庭園芸普及協会) - フラワーショップ経営
本記事を書いている私はポトス50種類以上の栽培歴を持つポトスマニアです。
今回は、“ポトスの葉が黄色くなる原因”についてご紹介します。
ポトスの葉が黄色くなる10の原因
ポトスの葉が黄色くなる理由は複数ありますが、その中でもよくある理由とそれほどでもない理由があります。
この記事ではポトスを栽培する中で、よくある原因を中心にすべての黄色くなるパターンを解説したいと思います。
以下、初心者によくある原因順に①~⑩まで記載しています。
①環境の変化・移動による生理現象
まず、以下に当てはまる場合は環境の変化、移動による生理現象を疑います。
- 買ってきて1週間も経ってない
- 季節の変わり目に症状が出た
- 最近、置き場所を変えた
- 水やりのために外に出し、夜は室内に入れる作業をよくやる
ネットやお店で購入したばかりなのに、下の方の葉がすぐに黄色くなることがあると思います。
これは、ポトスが新しい環境に適応するために行っている生理現象の1つで、省エネが目的です。
生理現象のため、葉が黄色くなるのは仕方がないことであり、問題ありません。
ポトスに限らず、植物は生育環境が変わると新しい環境に慣れようとします。
例えば、落葉樹は冬に余分なエネルギー使わないようにするため、あえて葉を落とします。
季節の変わり目(主に気温・日照状況)
置いている場所は同じでも、季節の変わり目による気温変化、日照状況により葉が黄色くなったり、シミができることがあります。
- 冬から春 3~4月
- 梅雨 6月
- 夏から秋 9月~10月
植物は人間と違い、歩くことがない=移動しません。
ということは、本来移動することが苦手です。
栽培している環境が変化する、移動するということは、温度や湿度、日照が当たる時間などがガラリと変わります。
例えば、日陰を好むシダ植物を、太陽光が良く当たる場所に移動させるとどうなるか?
まず、乾燥=湿度不足、強光による葉焼け等によって枯れやすくなります。
一方、ポトスは丈夫な植物です。
とはいえ、置き場所が変えられたり、水やりの度に外に出され、夜は室内にという行為はポトスにとってストレスなんです。
ちなみにポトスは生産者→市場→花屋・ホームセンター等園芸店→消費者の順番に移動させられています。
生産者→市場の移動は1~2日程度なので、ダメージはありません。
しかし、市場→花屋さん・ホームセンター等園芸店へ移動すると、お店では消費者に渡るまでに少し時間があります。(お店に入荷したからといって直ぐに売れるわけではない)
そのため、花屋さん・ホームセンター等園芸店では、葉が黄色くなったりしています。
ただ、お店の人が毎日管理して取り除いているため、きれいな状態で消費者に渡っています。
環境変化、移動によって葉が黄色くなる生理現象は、プロでも防ぐことができません。
ポトスが生育する上での自然な現象なので、心配する必要はなし。
②太陽光が十分に当たっていない(日照不足)、光が足らない
洗面所 玄関、お風呂など電球の光しか入らない場所で栽培していると、日照不足によって葉の一部が黄色く枯れ込むことがあります。
ポトスの置き場所として「半日陰=レースのカーテン越し=1日のうち2~3時間は直射日光が当たる」といわれています。
しかし、この“半日陰”という言葉は誤解されることが多く、「あまり太陽光が当たらない場所」と解釈している人も多いのではないでしょうか。
ポトスは思いのほか、太陽光を好む植物です。
光が当たらないことで、植物の成長に必要な光合成がうまくできず、一部の葉が黄色くなり、やがて葉を落とすことがあります。
太陽光も電光も同じと思っているかもしれませんが、全然異なります。
晴天時のお昼の太陽光が10万ルクスなのに対し蛍光灯の照度は1000ルクスです。
ポトスを元気よく栽培するのに必要な照度は2000ルクス程度と言われています。
つまり、蛍光灯の明かりだけだとポトス栽培では照度不足になります。
太陽光が当たらない場所での栽培で葉が黄色くなるのは仕方のないこととして割り切りましょう。
ただし、照度不足+水のやり過ぎのダブルパンチで枯れる場合、まずは水やりを停止し、あまりにも土が過湿状態であれば新しい土に植え替えた方が良いです。
③寒い、室温が低い
元々熱帯植物のポトスは、寒い環境になると葉が黄色くなることがあります。
これは寒さによって根が冷えた(一時的に傷んだ)ことによるサインです。
ポトスは、東京や大阪など中間地と呼ばれる地域であれば、4月後半~10月いっぱいまで屋外で栽培することができます。
4月後半~10月いっぱいまでは寒さ・低温による影響はありません。
ポトスが寒さ、室温が低いことによって葉が黄色くなるのは、11月~4月前半の間の温度が関係しています。
ポトスの最適な置き場所として、「日当たりのいい窓辺、レースのカーテン越し」といわれています。
4月後半~10月いっぱいまでは良いのですが、11月~4月前半は注意が必要です。
というのは、晩秋から冬、初春は朝夜の気温がグッと下がってしまうため、窓辺だとポトスが生育に耐えられる最低温度5℃を下回る可能性があります。
このような場合、ポトスの置き場所の移動をおすすめします。
尚、不在時でも室温が10℃以上を保てるのであれば、特に心配する必要はありません。
寒さ+水のやり過ぎ
育てている場所の気温が低い+水のやり過ぎによって根が傷み根腐れに進行します。
例えば出窓にライムポトスを置いていたところ、黄緑色の葉が黄色く変色してくることがあります。
季節によって原因はいくつか考えられますが、冬期、外気温が氷点下になる地域にお住いで出窓にポトスを置いている場合、明らかに寒さが原因です。
気温が低いということは乾くまでの時間もかかります。
特にプラスチック製や陶器の鉢は中の土が乾きにくい性質を持っているため、余計時間がかかります。
そのため乾いていると思ってまた水を与えてしまうと、全体として水分過多の状態になり根腐れします。
④葉の寿命
造花のポトスと違い、どんなに上手に栽培しても1枚の葉や株には寿命があります。
寿命によって葉がだんだん黄色くなり茶色に変色して枯れます。
これも生理現象の1つです。
ポトスの葉の寿命は7年くらいと聞いたことがありますが、株に関しても実際長年、ツルを伸ばして順調に育っていた鉢植えのポトスがある日から突然枯れ込んできたなんてこともあります。
ただ、ポトスの場合は株分けや挿し木、水栽培によって簡単に発根するため、増やすことができます。
クリスマスロースの株ではよく行われるのですが、ポトスでも寿命に備えて子株を作るといつまでも子孫の株を育てることができます。
⑤水のやり過ぎによって根が傷んでしまった
- 毎日水やりをしている
- 植え替え後に葉が黄色くなった
毎日水やりをしていたり、植え替えた後に葉が黄色くなることがあります。
これは、鉢の中の水分量が、根が吸収できる量を超えてしまい、一時的に根が傷んだことでそのサインとして葉が黄色くなることがあります。
根が吸収できる水分量 < 鉢の中の水分量
もし、土の状態が湿っていて乾いてない状態であればこれが原因です。
最悪は根腐れ(ねぐされ)といって水分過多(すいぶんかた)によって根が腐り枯れます。
今、月にどのくらいのペースで水を与えているでしょうか?
もし、季節に関係なく毎日、あるいは1週間に1回、2回など日課的に与えている場合は注意です。
特に一年中室内で育てている場合であれば、毎日やる、1週間に1回などは多すぎです。
ポトスは丈夫な観葉植物なので少々水が不足していても生きます。
本当に?と思うかもしれませんが、水不足状態になれば、土はカラカラに乾き、明らかに株全体の葉がしなっとして元気がなくなってくるため、この記事を読んでいるほとんどの人はそこで水を与えるはずです。
ポトスの水やりで大事なのは、〇日に1回など決めるのではなく必要かどうかは、ポトスの株の様子を観察して必要かどうかを見極めてることです。
毎日見ていると、水が足りている時と不足している時の違いが分かるようになります。
よく、園芸本や観葉植物の本などには「土の表面が乾いたらたっぷり」とか「プランターの底から水がでるまでたっぷり」などと書かれていますが、あれはあくまでも原則論です。
正しくは、土の表面が乾いているとかいないとかで判断するのではなく、毎日ポトスを観察する中で水が足りている状態と不足しているときの状態を記録、あるいはざっとでもいいので覚えておきます。
例えば水を与えてばかりのときは葉がシャキッとしているのに対し、水が不足してきたときはやや葉がしんなり下を向き始めているなどです。
そしたら次の水やりをするタイミングだとわかります。
土の状態を実際に触ってみて、黒くびしょびしょに湿っている状態なのか、やや乾いているのか、土質がさらっとしっとりしているのか、地割れのようにカサカサになっているのかなど、色々あるの中で、土が掴めてややしっとりしている状態が通常時であるなど。
ポトスの水やりについて以下を参考に
根腐れとはどんな状態なのか?
水のやり過ぎが極限まで行ってしまうと、根腐れ(ねぐされ)という状態に陥ります。
根腐れとは文字通り根が腐る現象なのですが、要するに土中の水分が増えたことで根が呼吸できず窒息してしまっている状態です。
水栽培と異なり土で育てる場合は、排水性も重要になります。
本来、植物の根というのは水を求めて伸びます。
土に植わってる場合、乾いてきたら根は水分を求めて伸びようとします。
水に含まれている酸素が鉢内に溜まっている古い空気を押し出し、常に新鮮な空気に根が触れることで、根だけでなく株全体が丈夫に成長していきます。
しかし、土が乾かないうちに常に鉢内に水分があると根が吸収できる量をオーバーしてしまい、貧弱になり、最悪枯れます。
葉が黄色くなる前段階として、葉の一部に茶色いシミが入ったりすることが多く、黄色く変色した後は茶色く枯れます。
鉢土が中々乾かない場合は、日当たりなどに置いて早く土を乾かす努力をする、黄色くなる葉が増えるようであれば、思い切って新しい土に入れ替えるのも有り。
⑥肥料をやっていない、不足している
水やりはするけどポトスに肥料を与えたことがない人は結構います。
肥料とは栄養分で人間でいうところの食事にあたります。
食事量が減れば痩せますよね。
それと同じく肥料を与えなければポトスの株も弱々しくなります。
その表れとして葉先から黄色くなります。
植物は葉にある葉緑素で光合成をすることで養分(糖やデンプン)と酸素を作り出します。
ただ、自分で作る養分だけでは限界があり、外部からの栄養を必要とします。
それが肥料になります。
肥料には葉を成長させるもの、花・実を成長させる・根を成長させる成分があります。
- チッ素・・・葉の成長を促す
- リン酸・・・花や実の成長を促す
- カリ・・・根の成長を促す
観葉植物に多く必要な成分は葉の成長を促すチッ素成分です。
購入した際に、鉢内に固形肥料が入っていると思いますが、水やりの度に少しずつ溶け、やがて鉢内には肥料成分が0になります。
ですので、観葉植物用の肥料があるので水やりと合わせて、肥料を定期的に与えて下さい。
⑦根詰まり、買ってから1回も植え替えをしていない
根詰まりとは、小さな鉢で育てている場合や何年も植え替えていないなど、鉢の中いっぱいに根が回ることでうまく水分を吸収できない状態になっていることです。
根から水が上手く吸収できなければ葉にも行きわたらないため、黄色く変色します。
根詰まりを解消するにはまず、今植わっている鉢から出し、5~6月の成長期に根をほぐしたり切るなどして、植え替えます
⑧乾燥、水やり不足
葉が黄色くなる原因の1つに水不足、水を与えない期間が長いことがあります。
ただ、ポトスを気にかけている人で水をやらない人はほとんどいません。
また仮に水不足が原因だとしたら黄色くなる葉は1枚2枚ではなく、株全体的にしんなりとして元気がありません。
そのため1枚、2枚黄色くなったからといって水不足が原因ということはほぼないです。
もし水の問題が原因で葉が黄色くなるのであれば、むしろ水のやり過ぎによる根の傷みの可能性の方が高いです。
観葉植物に全く興味のない人ならあり得ますが、この記事を読まれるような方は水不足が原因で葉が黄色くなるケースは少ないです。
⑨肥料のやり過ぎ、肥料焼け
肥料焼けとは決められた分量以上の肥料を与え過ぎたことで、根がダメージを受ける現象で、1例として葉にその症状が表れて黄色くなることがあります。
これに関しては単純にしっかり決められた分量の肥料を与えれば起こりえないので、正しい分量を守って下さい。
ちなみに肥料焼けに関しても、1枚2枚だけ黄色くなるのではなく全体的に元気がなくなります。
適切な肥料の分量を与えている初心者であれば、肥料焼けを起こしてしまうケースはまずないと思います。
⑩葉焼けの初期段階
葉焼けとは、夏の直射日光下に葉をさらしたとき、葉が焼けてしまい葉緑素が壊され、黄色や茶色く色があせたようになる現象です。
ただ、夏に限らず春でも日差しが強いときになることもあります。
この場合は葉が黄色くなるといっても他の原因とは異なり、1日、2日程度ですぐに状態が表れるので分かりやすいです。
黄色くなったポトスの葉は元に戻らない
ズバリ、一度黄色く変色した葉は元の緑色に戻ることはありません。
黄色くなったら茶色く変色するか、その前に株から落ちるかのどちらかです。
放っておくと環境によっては黒くなってカビが生える可能性もあるので、黄色くなった葉は取り除いて下さい。
葉の先端から新しい葉が出てきているのであれば、株は元気です。
ポトスの葉が黄色くならないようにするコツ
ポトスの原産地の環境を知り栽培に生かす
ポトスを上手に育てるコツは、できるだけポトスのふるさとに近い環境を再現してあげることです。
ポトスの原産地は東南アジア、南太平洋諸島で湿度の高い熱帯雨林に自生しています。
沖縄などでも屋外の植栽に使われています。
湿度の高い熱帯雨林にどのように自生しているのかというと、ポトスはツル性植物なので主に樹木に絡まっています。
直射日光ではなく、うっそうとした森の中の木漏れ日を取り入れて育っています。
つまり、これと同じような環境で育てれば日本の家庭でも上手く育てることができます。
具体的にいうと
- 半日陰(レースのカーテン越しなど)
- 霧吹きや加湿器で湿度30~60%は保つ
- 肥料を与える
※湿度に関してですが、季節によって部屋の湿度は異なります。
例えば、8月~9月の夏は湿度60%くらいになりますが、11月以降は徐々に湿度は下がり、真冬は20%台になることもあるでしょう。
ポトスが好む生育湿度は高温時で50~60%です。
ポトスは丈夫なため、多少日が当たる場所に置いても湿度が40%でも、肥料を与えなくても生きます。
ですが、自生地の環境に近づけてあばれば、より育ちやすいということです。
以上、ポトスの葉が黄色くなる10個の原因について紹介しました。
葉が茶色くなる原因についてはこちら